栃木県議会 2021-07-07
令和 3年 7月グリーン社会実現特別委員会(令和3年度)−07月07日-01号
◆
相馬憲一 委員 そもそも論で申し訳ないのですが、
パリ協定で
産業革命以前に比べて2度未満に保つということや、2050年に
カーボンニュートラルということでCO2の排出量をゼロに近づけていくということですけど、
産業革命以降、徐々に温暖化が進んでおり、仮に全世界で2050年にカーボンゼロを達成したとして、気温がすぐに
産業革命以前に戻るのか、それとも数年かけて
産業革命以前に戻るのかという、ここでこれをやらないといつまでにこの目標を達成できないという、そういった時間的なスケジュールが見えてこないのです。
カーボンゼロですぐに気温が
産業革命以前の水準に戻るのか、それとも2050年に排出量を世界的にゼロにしても、そこから50年経たなければ
産業革命以前の水準に戻らないのか。努力した結果が現れるのは何十年後になるから、これは早くやらなければならないといった、そういう努力した結果がいつ頃発現するのかが分からないものですから、お分かりでしたら教えていただきたいと思います。
○
螺良昭人 委員長
野中気候変動対策課長。
◎野中
気候変動対策課長 私も正確に答えられる自信はございませんけど、少なくとも今の
温度上昇傾向を緩やかにするためには、今すぐにでも
カーボンニュートラルを実現しなくてはいけない状況でして、仮に今日
カーボンニュートラルが実現したからといって、すぐに
産業革命以前に戻るということではないと認識しております。少なくともこれ以上温度上昇を続けない、この上昇を食い止めると、そのためには遅くとも2050年までの
カーボンニュートラルの実現は必須であると、そのように私は理解しています。
○
螺良昭人 委員長 よろしいですか。
◆
相馬憲一 委員 はい。
○
螺良昭人 委員長 ほかにございますか。よろしいですか。
ほかに質疑がございませんので、以上で質疑を終了します。
次に、議事(2)先進的他県の取組について、執行部の説明を求めます。
なお、質疑につきましては、説明終了後に行うことといたしますのでご了承願います。
説明は着席のままで結構です。
野中気候変動対策課長。
◎野中
気候変動対策課長 それでは、資料2先進的他県の取組について説明します。
まず結論から申し上げますが、他県の状況につきましてはいろいろと調査しておりますが、現状ではまだよく分からないというのが正直なところです。そうした中で、今回は今年の3月に
全国知事会プロジェクトチーム会議で示されました各県の資料がございまして、この中で特に目立った取組についてご紹介をさせていただきたいと思っております。
4ページをお願いいたします。
こちらは沖縄県の取組です。先ほど申し上げた地域脱
炭素ロードマップの
先行地域ということで、左側が離島の波照間島における
風力発電100%
実証事業です。右側が宮古島における
スマートコミュニティー、
エネルギーマネジメントの
実証事業、こうした事業が既に沖縄県では始まっているということです。
また、下段の左側ですが、
電動車転換促進事業がございまして、沖縄県では令和3年度、要は今年度以降に買い換える全ての公用車、これを電動車として、今後5年間で6割以上の転換を目指す、そういう取組が既に沖縄県は始まっているということです。
続いて、5ページをお願いいたします。
こちらは山梨県の企業局が行っている、国と
地域企業と連携して行っております
CO2フリー水素の
サプライチェーン構築事業です。大
規模太陽光発電の電力で水を電気分解して水素を製造し、貯蔵、輸送、地域利用までの社会実装を行っているところです。このような大規模事業は、福島でも行われているところです。
栃木県ですぐにまねできるかというと、なかなか難しい部分もあるかと思っておりますが、先進的な事業だと思っております。
続いて、10ページをお願いします。
こちらは鳥取県の
省エネ住宅普及の取組です。鳥取県では、環境のほかに健康増進、そういう観点を絡め、国の
省エネ基準を上回る独自の基準をつくりまして、認定、補助の形で普及促進を図っております。県内の
住宅供給事業者とうまく取り組んでいる事例として注目をしているところです。
続いて、14ページをお願いします。
こちらは岩手県企業局の
再生可能エネルギー地産地消の取組です。こちらは県が
水力発電で発電した電力を、地元企業の出資で設立いたしました地域新
電力会社に売電し、市町の公共施設、
民間事業所、一般家庭に供給するものです。
同様な取組は、山形県でも行われておりまして、22ページになります。山形県においては、
小売電気事業者として株式会社やまがた新電力、これをつくりまして、こちらは
都道府県レベルでは全国初の地域新
電力会社です。
発電事業者も
水力だけではなくて、
太陽光発電、
風力発電、
バイオガス発電を取り込んで、将来的には計27発電所にする構想です。
また、23ページのように、今後供給地域についても拡大をしていく、そういう計画になっています。
資料2の説明については以上です。
○
螺良昭人 委員長 以上で説明は終了しました。
委員の質疑をお願いいたします。
石坂委員。
◆石坂太 委員 資料の1にも関わる話なのですが、国が
先行地域づくりを進めている中で、資料2で先進的な他県の取組について説明いただいたのですが、そもそも国が
先行地域をどのようにイメージしていて、その中で栃木県はどういったものを目指していくのか現時点でのビジョンがあればお聞かせいただきたいと思います。
○
螺良昭人 委員長
野中気候変動対策課長。
◎野中
気候変動対策課長 地域脱
炭素ロードマップについては、つい先日、国から発表されたばかりで、具体的な
先行地域のイメージは我々も今考えているところで、また国にこれから確認したいところです。
○
螺良昭人 委員長
鈴木環境森林部長。
◎鈴木
環境森林部長 概略につきましては、今
野中気候変動対策課長が説明したとおりでありますけれども、私どもが地域脱
炭素ロードマップを見て感じておりますのは、この
先行地域については1つのパターンというものではなくて様々なパターンが考えられる。ですから、エリアというのも非常に狭いものから、かなり広範囲になるものもございますし、ゼロカーボンにしていくというものをどの分野でやっていくか、全部その地域で目指すのか、あるいはこの部分についてはそうしましょうとするのか。また、かなり柔軟にそういったものが考えられているのではないかと思います。
最終的に100か所という数字に合致するものは、恐らく一定の要件が出てくるのだと思いますけれども、そこに完全に合致しなくても
先行地域と捉えてもいいような、そういう取組であるとか、あるいは取り組んでいる地域をつくっていくということが、最終的に2050年の
カーボンニュートラルにつながっていくと思いますので、我々も様々なパターンを考えて、そういうものを栃木県でどうやってつくっていくのかを検討して、またこれはやはり市や町の皆さんと一緒に取り組んでいかなければなりませんので、そういった考えを市町の皆さんとも共有しながら進めていきたいと考えております。
○
螺良昭人 委員長
相馬委員。
◆
相馬憲一 委員 先ほど山梨県が進める
水素社会として、
グリーン水素の製造から流通、利用という説明がありましたが、その中で栃木県ではすぐに導入するのは難しいという話がありました。その要因として何が考えられるのでしょうか。
もう1点は、山形県や岩手県で
電力会社を設立して取り組むという話がありました。栃木県でも企業局で
ふるさと電気を販売するといった取組をしておりますが、方向性としては新しい
電力会社を設立したほうがよいのか、それとも東京電力などとタイアップしながら、
ふるさと電気や環境に優しい電力として販売していくほうがよいのか、その辺りの判断基準が何かありましたらお聞かせいただきたい。
○
螺良昭人 委員長
野中気候変動対策課長。
◎野中
気候変動対策課長 まず1つ目の、阻害要因があるのかどうかですが、阻害と言っていいのかどうか分かりませんけれども、福島県、山梨県、要はもう取り組んでいるところは、まずこの
カーボンフリー水素をつくる大前提である巨大な
メガソーラー施設が造れるかどうかということだと思います。水素を電気分解するためには、相当程度の面積の
メガソーラー施設が必要です。
福島県については、震災で空いている土地がかなりあり、復興過程で土地が確保できた、そういうところにできた。山梨県についても詳細は分かりませんが、土地が確保できたということで、栃木県で相当程度の
メガソーラーを造れる、そういう場所が本当にあるのかはなかなか難しいかと思います。それがまず一番だと思っております。
2点目の新
電力会社の設立等についてですが、仮にその
エネルギー供給源が県の企業局の
水力発電のみということであれば、現行の
ふるさと電気、要は県の販売ということでよかろうと思いますが、様々な複数の、例えば電源、例えば家庭の余剰電力、
卒FIT電力も取り入れるし、民間の発電所も取り入れるし、そういうものをトータルでコーディネートしようとすれば、やはりそれは民間または第三
セクター等の新
電力会社の設立が必要になってくるのではないかと考えています。
以上です。
○
螺良昭人 委員長
相馬委員。
◆
相馬憲一 委員
電力会社の件は、種類の違う電力を受け入れるということであれば、そういった会社を設立しなければならないということで承知しました。
山梨県が進める
グリーン水素の取組については、いろいろと考えていかなければならないこともあるかと思います。写真を見ると、
米倉山太陽光発電所として山を切り開いて、多分盛土もしていると思うので、この開発については絶対にできないというわけではなく、面積さえ確保できれば栃木県でもできるということでよろしいでしょうか。
○
螺良昭人 委員長
野中気候変動対策課長。
◎野中
気候変動対策課長 あとは費用の問題ですが、当然県費だけではできませんので、
国庫補助金が得られるかどうかも大きいかと思います。
○
螺良昭人 委員長 関谷副委員長。
◆関谷暢之 副委員長 山梨県の取組について、水素エネルギーは、今後の
カーボンニュートラルの達成に向けた大きな鍵となるエネルギー分野だと思いますので、山梨県が国、あるいはNEDO、県の自主的な部分も含めて、この事業に着手、そして推進するに至った経緯を、もしご存じでしたら教えていただきたい。
○
螺良昭人 委員長
野中気候変動対策課長。
◎野中
気候変動対策課長 詳細は存じ上げません。申し訳ございません。
○
螺良昭人 委員長 山田委員。
◆山田みやこ 委員 先ほど
相馬委員からもありましたが、この山梨県の説明の際に、まねできるかどうかという言葉に私も引っかかったのです。この部門が牽引力をもってやっていかなければならないということは、前回の委員会でも話が出たと思うのですけれども、この
カーボンニュートラルという話は降って湧いたものではなく、やはり前々から
再生可能エネルギーや、そういった取組をやらなければ駄目だということで県も進んできたのだと思うのです。
その中で、
再生可能エネルギーとしての小
水力発電でも、栃木県はたしか何年か前に何か賞を受賞した気がするのですけれども、こういったことがずっと根底にあったと思うのです。ですから、これまで実施してきた取組と、これからの取組を積極的に合体させて、もっと牽引力を見せる必要があると、この説明を聞いても感じるところなのですけれども、その辺りはどうなのでしょうか。
○
螺良昭人 委員長
鈴木環境森林部長。
◎鈴木
環境森林部長 本県も小
水力の発電に必要な河川の状況等を見える化したマップを作成しまして、これを公開して企業の参入を促しています。これは全国初の取組でしたので、全国的にも取り上げていただいたところですが、現状を申し上げますと、小
水力発電などの
水力ということになりますと、利水者との調整がありますが、現在、実際に一部の河川では事業者の参入の希望もありますので、調整を図っているところです。私どもとしては、そういったことをぜひとも実現をしていきたいと思っていますし、こういった全国に先駆けた取組など、常に何か新しいことができないか考えながら取り組んでいかなければならないと考えているところです。
この山梨県の事例の経緯は私もよくは存じていませんが、国の
実証事業がタイミング的にうまく合ったということだと思いますので、そういったタイミングに乗れるようにするためには、日頃からの不断の、この山梨県の場合ではまさに大規模な
太陽光発電を準備していたことがあってのことだろうと思いますので、そういった先を見据えた取組をしっかりやっていきたいと思っております。
○
螺良昭人 委員長 よろしいですか。ほかにございますか。
私から1つお伺いします。
例えばEVやPHV車の導入は、費用の問題もありますが、やる気になればすぐできるわけです。そういったものが全国的な先進事例としてここに紹介されているわけですが、執行部として、先進的他県の取組を見て、これなら栃木県にもマッチングするであろうから、あしたからでもどんどん進めていきたい、予算を何とか用意してもらいたいと思う取組の候補を挙げていただけると大変ありがたいのですが、いかがでしょうか。
野中気候変動対策課長。
◎野中
気候変動対策課長 まず、すぐにでも取り組めるものとしては、事例でも紹介いたしましたが、公用車の電動車の導入だと思います。栃木県は車社会で、県として率先して取り組む施策としては、候補の1つに間違いなくなってくると考えております。
その他については、まだ検討中のところもありまして、とりあえずその辺りでございます。
○
螺良昭人 委員長 ほかに何かございますか。よろしいですか。
なければ、以上で質疑を終了いたします。
次に、議事(3)栃木県の現状について、執行部の説明を求めます。
なお、質疑については説明終了後に行うこととしますので、ご了承願います。
説明は着席のままで結構です。
野中気候変動対策課長。
◎野中
気候変動対策課長 それでは、資料3栃木県の現状について説明します。
1ページをお願いします。
(1)県内の気候変動影響ということで、宇都宮市の年平均気温と真夏日の年間日数について、現状と将来予測を申し上げます。
年平均気温については、ここ100年で約2.33度上昇し、2020年度は15度でした。今後対策を講じなければ、21世紀末までにさらに4度から4.5度上昇し、19度から19.5度になると予測されております。
また、最高気温が30度を超える真夏日の日数につきましては、ここ80年で27日以上増加し、2020年度は50日でした。21世紀末までにさらに50日から65日増加し、年間100日を超えると予測されております。
2ページをお願いします。
(2)本県の
カーボンニュートラル実現のイメージです。
本県のCO2排出量につきましては、2018年度で1,744万トン、また同年の森林吸収量は63万トンとなっています。2050年に
カーボンニュートラルを実現するためには、CO2排出量を63万トン程度まで、基準年である2013年度比で97%程度まで削減する必要がありまして、大変高い目標になっています。
なお、森林吸収量につきましては、人工林の高齢化が進んでいることにより、年々減少する傾向にありますので、実際にはこれ以上のCO2削減が必要になるのではないかと考えています。
さらに、今から9年後、2030年度につきましても国が削減目標の大幅な引上げを行いましたことから、現在の県の目標である
マイナス26%、1,440万トンにつきましても見直す必要があると考えています。
3ページをお願いします。
こちらは2018年度のCO2排出量1,744万トンを排出源別に示したものです。赤い部分が非電力、いわゆる石油やガソリンなど化石燃料の消費に伴うものが45%、黄色い部分電力の消費に伴うものが40%、つまりエネルギー由来の排出が全体の85%を占めている状況です。
4ページをお願いいたします。
こちらはエネルギー由来のCO2排出量1,478万トンを、分野別に示したものです。産業分野が36%、交通分野が30%、業務分野と家庭分野がともに17%でして、産業と交通で全体の66%。また、産業分野におきましては、製造業からの排出が9割以上となっています。
5ページをお願いします。
こちらは現在、県で考えるCO2削減のイメージです。まず、2030年から2050年、後ろのほうですが、この間には電力や水素などが脱炭素化されることを前提としまして、左の赤い部分の化石燃料につきましては、できる限り電力、水素、または天然ガスなどに転換していく必要があると考えています。また、電力につきましては、省エネはもちろんのこと、地産地消化、家庭や工場等で
太陽光発電の設置などを促進していく。こういうことが重要であると考えています。
こうした状況等を踏まえまして、今年度
ロードマップを策定してまいります。その中で次回の委員会では骨子案をお示しできればと考えているところです。
資料3の説明については以上です。
○
螺良昭人 委員長 以上で説明は終了しました。
委員の質疑をお願いします。
野澤委員。
◆
野澤和一 委員 さきほどの続きですけれども、このような状況の中で本県にあっては、発電の部分で
水力が非常に大きな割合を示している県であります。そういう意味で、先ほどの
再生可能エネルギーにおいては、
水力についての取組というか考え方はどのようになっているのか、教えていただきたいと思います。
○
螺良昭人 委員長
鈴木環境森林部長。
◎鈴木
環境森林部長 水力は、栃木県はやはり上流県ですので、現在でも大規模な
水力発電が稼働しているという状況です。この豊富な水資源を活用した
水力発電は栃木県の強みですので、これを拡大していけるような努力が必要だと思っております。
一方で、
水力発電をするといいますと、大規模な場合には、やはりこれまでの取組のようにダム等が必要になるということが想定されます。このダムを造るということに仮になった場合には、これまでの経過からすれば相当の期間、数十年の期間で物を考えなければならないということになりますので、大規模なものはそういうことを念頭に入れながら検討していくことになると思います。
一方で、小
水力の発電につきましては、河川の中の一部の水量を引き込んでいく、既に企業局で実施している発電所の中にはそういうものがありますけれども、そういった取組になってまいりますので、比較的実現性という面では短期間にできるものではないのかと思っております。しかし、これも10年、20年のスパンで考えなければいけないと思いますが、そういったものを先ほど申し上げました
水力発電の適地のマップを活用して、民間の企業等の参入が得られるように、引き続き努力をしてまいりたいと思っております。
○
螺良昭人 委員長
野中気候変動対策課長。
◎野中
気候変動対策課長 水力の中で具体的に栃木県で今取り組んでいるといいますか、実際の事業主体は民間になりますが、鹿沼市、日光市等で、その事業化に向けた調査を今進めているところです。
以上です。
○
螺良昭人 委員長
野澤委員。
◆
野澤和一 委員
水力発電を拡大するためにはダムの建設が前提になるということで、これを拡大していくことは難しいという話であったと思います。いずれにしても、例えば南摩ダムの建設や、そういったものに絡めるなど、少しでも拡大していく取組は必要ではないかと思います。
また、
再生可能エネルギーにおける太陽光については、民間の住宅業界では新築あるいはリフォームにおいて住宅の屋根に太陽光パネルを載せていく取組を積極的に行っています。当初、補助金や様々な支援がありましたけれども、最近はそれがなくなってきている状況にあり、他県の事例にもございましたけれども、住宅関連の太陽光パネルについては、県として再度支援の必要性も見えてきていると思うのですが、その辺りの見解はいかがでしょうか。
○
螺良昭人 委員長
鈴木環境森林部長。
◎鈴木
環境森林部長 住宅部門のゼロ・エネルギー、ネット・ゼロ・エネルギー化、それによる
カーボンニュートラルの実現というのは、非常に重要な分野だと思っております。これまでの
太陽光発電の経緯を振り返ってみますと、スタート時点、今から多分20年ぐらい前だったかと思いますが、今、
野澤委員がおっしゃるように、国の補助制度等もありまして、一時期大きく普及したときがございました。そして、それを国が一旦終了させて貸付けのほうに回ったときに、これで1回ブレーキがかかり、そしてご案内のFITですね、固定価格買取制度が始まって、これまでを大幅に上回る急拡大をしてきたというような、こういう経緯を踏まえますと、太陽光パネルの一般住宅への設置につきましては、行政側の施策の与える影響というのは非常に大きいものがあると受け止めております。
したがいまして、これからはネット・ゼロ・エネルギー住宅、いわゆるZEHの普及というのが、やはり不可欠だと思っておりますので、そのためにどういった施策が必要であり、また効果的であるのかということを十分踏まえた上で、
ロードマップ等で県としての考え方をお示ししたいと思っております。
○
螺良昭人 委員長
野澤委員。
◆
野澤和一 委員 住宅あるいは自動車が、先進県の取組の中でもポイントになっていたとの報告がございました。そういう意味では、本県としても自動車の電化また水素化、そういったものの普及と同時に、ゼロ・エネルギー住宅についての支援も拡充する必要があると思いますので、検討をよろしくお願いしたいと思います。
以上です。
○
螺良昭人 委員長
相馬委員。
◆
相馬憲一 委員 先ほど
ロードマップの骨子案を次の委員会でお示しいただけるということでしたが、説明いただいた資料の2ページのような
ロードマップになるのでしょうか。それとも、先ほど
野澤委員からありましたけれども、それを達成するために、民間の屋根ベースでどのくらいの面積に太陽光パネルを設置していく、あとは公用車ばかりではなくて民間の自動車もEVやFCVに替えていくというような具体的な数字があって、30年度に46%削減します、2050年までには97%に削減しますという目標が
ロードマップの中に書かれているのか。ただ46%を目指します、97%を目指しますということではなくて、何をやってこれを達成していくという数字がその中に入っているのかお答えいただければと思います。
○
螺良昭人 委員長
鈴木環境森林部長。
◎鈴木
環境森林部長 まず、
ロードマップ策定に当たりまして、2050年における
カーボンニュートラル、これはもう既に決定していることですので、そこが最終目標になります。国は、その1つのマイルストーンとして2030年の目標を46%としたというところでありますので、現在の栃木県の目標は26%、これは従前の国の目標でありますから、当然ながらこれをどういう数字目標にもっていくのかというのは、重要な検討事項だと思っています。
現行の26%につきましては、一定の過程の下に目標の部門別の数字を示しておりますので、今回新たに策定します
ロードマップにおきましても、そういった形でお示しするのが、県民の皆さんにとっても分かりやすいと考えておりますが、一方で国の電源構成等がどのようになっていくのか。そして、それがいつ実現されるのか。こういう不確定な要素、これが確定してくるかもしれません。その時期によって、変わってくるのではないかと考えております。
私どもとしては、基本的になるべく定量化した数字でお示しできる方向で検討を進めてまいりたいと思っておりますが、一方で今年度中に策定するという目標がありますので、その時点での最新の情報を反映して参ります。それから、2030年を1つの目標とし、2050年という30年後の最終目標を実現するに当たっては、技術革新等もありますので、不断の見直しが当然必要になると思います。今年度つくる
ロードマップは、この時点におけるできる限りのものを盛り込んでいくという、これは当然ですけど、その後も新たな知見、技術革新あるいは国の制度改正を十分に踏まえて常に見直していく。そういうことによって、実現可能性を高めていくといったことを連続していくことが必要だろうと、今の時点で考えているところです。
○
螺良昭人 委員長
相馬委員。
◆
相馬憲一 委員 現時点での技術を総動員して、持てる力を全部そこに集中して、今の技術で2050年までにこのような形で90何%カットできるという目標を立てれば、技術革新等々がその後できてきて、目標達成が前倒しできることになりますから、現時点での技術力を活用して、いかに2050年にこの目標を達成するかということをぜひ
ロードマップでお示ししていただけると大変ありがたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○
螺良昭人 委員長 ほかにございますか。山田委員。
◆山田みやこ 委員 CO2の分野別排出状況が4ページにありました。現在、県でもクールチョイスであるとか、様々な取組などをやっていると思うのですけど、産業や交通で66%というような形で様々な企業でもいろいろな努力はされていると思うので、民生部門における家庭という部分では自分たちで今何ができるか、不断の見直しと先ほどおっしゃいましたけれども、もう少し強力にできるのではないのかと思うのですが、家庭部門に対する取組はどうなのでしょうか。
○
螺良昭人 委員長
鈴木環境森林部長。
◎鈴木
環境森林部長 やはり国と地方のそれぞれの役割、得意分野といいますか、そういったものがあろうかと思っております。国はエネルギー政策等を所管しているわけですので、この
カーボンニュートラルに向けてはその部分が大きなファクターになると思っております。
一方で、地方、我々のサイドでは、やはり県民の皆さんに実際に
カーボンニュートラルにつながるような取組をしていただけるように、様々な施策を展開していくことが必要ですので、家庭部門等については先ほどの話にありましたように、クールチョイスの運動のような、まず県民の皆さんの意識、これが将来の栃木県の環境を守り、経済も含めて、暮らし、仕事をつくっていく、そういったことにつながることをお示しして、具体的にそれに資するような取組をしていくということは当然必要だと思いますし、地域脱
炭素ロードマップは基本的に民生部門と行政部門を中心に考えて取り組んでいくということですので、国からしますとエネルギー等は国が責任を持ってやるので、基本的に地方はそういった部門を、やれるところをとにかく一生懸命頑張ってくださいというメッセージと思っております。
そういったことを十分に踏まえて、家庭部門についての取組を強化していく。具体的なところはこれからになりますけれども、基本的な考え方はそういうことになります。
○
螺良昭人 委員長 山田委員。
◆山田みやこ 委員 身近なところから不断の見直しを強力に推し進めていただくということも、1つの方法ではないかと思いますので、よろしくお願いいたします。
○
螺良昭人 委員長 松井委員。
◆松井正一 委員 お尋ねいたします。
資料3の2ページです。説明の中で、一番下に吸収量に関する得失の説明がございました。人工林が高齢化しているということで、この63万トンをどう維持するかということだと思いますが、お尋ねしたいのは、ピンチをチャンスにということではないのですが、現在、世の中ではウッドショックが生じていると言われていまして、とにかく国産材をいかに上手に流通させるかという需要も新たに生まれています。そういう意味では栃木県の山林をよみがえらせることで、ひいてはこの63万トン以上の吸収量を確保するということにつながれば非常に喜ばしいと思ったのですが、既存の森林ビジョンではこの63万トンの維持までは網羅しているのでしょうか。念のために聞きたいです。
○
螺良昭人 委員長 佐橋
環境森林部次長。
◎佐橋
環境森林部次長 今の63万トンを維持するような計画、森林創生ビジョンになっているのかということですが、63万トンにぴったり一致するかどうかというところについては細かい検討はされておりません。ビジョンを作成するときにはカーボンを2050年に実質ゼロにするという理念は網羅しておりますので、具体的に50年に向けてということにはなっておりませんが、今言ったように栃木県の森林を有効活用していくことを前提に、スマート林業やいろいろな施策を取り込んで進めていくことになっておりますので、この63万トンを維持するように引き続き努力はしていきたいとは考えております。
しかしながら、現状ではここの一番下の緑の中に書いてあるような実情もありますので、そこに少しでも触らないような努力は継続していきたいと考えております。
○
螺良昭人 委員長 松井委員。
◆松井正一 委員 ぜひよろしくお願いいたします。この2ページを見たときに、国の削減目標を達成するためには、先ほどの答弁でもありましたように相当な不断の見直しが必要と感じています。
それと、もう1つお尋ねしたいのは、先ほど4ページにも産業、交通で66%など、具体的な数字が出てきたわけです。いわゆる民間活力の導入という視点で考えると、分野ごとに民間の皆様に改めてこの栃木県の実情を知っていただいて、その中で逆に各分野から提案をいただく。うちの分野ではこんなことができます、私たちの分野ではこのようなことができますといった、まさにプラットホーム的な場で、お互いの持ち合わせによって、最終的に目標に対してどれくらい削減できるかシミュレーションを実施していく必要があると思うのですが、その辺りの考えをお聞かせ願えればと思います。
○
螺良昭人 委員長
鈴木環境森林部長。
◎鈴木
環境森林部長 これは本会議で知事が答弁をいたしましたが、
カーボンニュートラルの実現は極めて高い目標でありますので、栃木県の総力を挙げて取り組んでいかなければならないということです。このためただいま松井委員から話がありました県内の各界の皆様の話を十分に伺って、今後の栃木県として取り組んでいく方向性を固めていく、そういうことが必要かと思っておりますけれども、そのために先日7月1日に
カーボンニュートラル実現会議を設置し、第1回の会議を開催したところです。
ここには市町、経済団体、学識経験者、消費者団体、そしてエネルギー産業、電力、ガス、そういった方々にお集まりをいただいておりまして、その7月1日の会議におきましても様々なご意見を賜ったところです。今後、具体的な部分を実務者の会議を通じまして様々な意見、要望等もお伺いして、先ほど来申し上げております実効性のある
ロードマップにしてまいりたいと思っております。
○
螺良昭人 委員長 松井委員。
◆松井正一 委員 分かりました。ありがとうございます。
その7月1日を皮切りに開催された
カーボンニュートラル実現会議は、非常に重要な場だと思います。ですので、どのようなことを各分野の方々がおっしゃっているのといったことを、後ほどまた、ご指導いただきたいと思います。これは要望といたします。
○
螺良昭人 委員長 保母委員。
◆保母欽一郎 委員 まず初めに確認です。県がこれから策定しようとしている
ロードマップは、まずは2030年に向けてつくっていくという考え方でよろしいでしょうか。
○
螺良昭人 委員長
野中気候変動対策課長。
◎野中
気候変動対策課長 そのとおりでございます。
○
螺良昭人 委員長 保母委員。
◆保母欽一郎 委員 そうすると、46%という数字が掲げられているわけですが、他の委員からも指摘されているとおり、残り10年もないわけですから、総力を挙げて施策を進めなければうまくいかないというのが現実だと思うのです。これから施策をつくっていくことになるので要望という形でお願いしたいのですが、本県や、国、他県の現状での考え方をお伺いした中で、ぜひ私からお願いしたいのは、個別の数字を積み上げていく計画の立て方もあると思うのです。やはり2050年に向けて、2030年には技術革新がないことを前提にしていただきたい。先ほどの国の総電力をどのように賄っていくかという構想にも関わってくるのですけど、いずれにしても最終的に2050年に向けて、2030年までというのはあくまでも県としての地の利を生かした栃木県独自の取組を中心に進んでいくことが基本であって、そのような中で各市町や民間と連携して、まずは46%に向けて進めていく。その間に技術革新がどんどん進むことから、地の利を生かした形でまた新たな施策を実施するという考え方で取り組んでいただきたいというのが1つです。
ややもすると、役人は大体の数字を積み上げていくというやり方をします。しかし、これは戦後の焼け野原から実施した殖産興業、まさに国策としての殖産興業以来の大革新なのです。ですから、県としても、
カーボンニュートラルをデジタル化を生かした全産業における殖産興業として捉える。このような考え方で、まずは地の利を生かす。そうすると、基本的に栃木県は先ほどから出ている森林がポイントとなります。そして、先ほど松井委員からも話が出ましたが、現在の木材の世界的な状況の話が出ていました。県内においても同様の状況です。そこで、前に、私も本会議の一般質問でウッディバレー構想について質問したのですけど、要は何を言いたいかというと、もちろん木材を建物関係の需要に対して使っていくという考え方もあるが、まさに今この
カーボンニュートラルの中では、この木材そのものがいわゆるバイオマス、つまり木材資源を利用してまさにナノカーボンに向かおうとしているくらい世界的な戦略素材になっている。そのようなことも含めて、いわゆるバイオマス発電や森林林業、CO2削減、それらも含めた考え方を優先して、物事を大きく捉えてもらいたいということが1つ。
もう1つは、太陽光の話では、水田、中山間地域の農業や山林の話になりますけど、今後人口が減少する中で、需要と供給の間で、相当荒廃する農地、いわゆる休耕しなければならない農地をどのように
太陽光発電に繋げていくか。これは先ほど電力の話で、企業局で電力販売という話がありました。それをぜひ県がコミットしながら、林業も含めた新たな電力関係の分野を企業局においてつくっていくことも念頭に置いていただきたい。
それと、あともう1つですが、いずれにしても目先の話をすれば、PPAの関係で
太陽光発電の事業者と家庭部門の
太陽光発電、蓄電、オンとオフがあると思うのですけれども、これらを利用した形が軸になっていく。あとは公用車のEV化ですけれども、ぜひ県有施設、そして公用車の話が出ました。EVという自動車の普及を念頭に置いた充電的なもの、充電器ですね、急速充電器は公、そして家庭においてはいわゆる普通充電、この辺りの補助体制も含めて全体的な体制を考えていただければありがたいと思います。
最後に、先ほど国の施策の中で100のモデル地域の話が出ました。これは基本的には近隣市町と連携して、現在のあらゆる分野での
カーボンニュートラルに関係する様々なデジタル化、そういったことを地域で進めていくという考え方で戦略というか構想をつくって、国がそれを後押しするという流れですから、その辺りも念頭に置いて広域的に地の利を生かした形で
ロードマップの中でも考えていただきたい。この辺りを要望させていただきます。長くなってすみません。
○
螺良昭人 委員長 要望でよろしいですね。(「はい、要望で結構です」の声あり)
ほかにございますか。渡辺委員。
◆渡辺幸子 委員 先ほど来、各委員から公用車に関しての話が出ていると思うのですけど、栃木県庁では環境保全率先実行計画が平成12年から既にスタートしていて、さらに先ほどの野中課長からの発言では、今すぐにできることは公用車の脱ガソリン化という話がありました。やはり一刻も早く、公用車に関しては脱ガソリン化を進めていく必要があると感じています。これまでも本会議の質問等で出ていたと思うのですが、水素ステーションに関して栃木市には既に設置されていますが、改めて県内で、今後どのくらいの設置が見込まれるのか。その可能性があまりないということであれば、どういったところが課題だと感じていらっしゃるのか、お伺いしたいと思います。
あわせて、個人的には公用車も水素燃料車にすることも必要、というか考えられる方法ではないかと思うのですが、どのようにお考えかお伺いします。
○
螺良昭人 委員長 渡辺
環境森林部次長。
◎渡辺 次長兼
環境森林政策課長 水素ステーションはおととし栃木市に1か所設置されました。あくまでも県南の地域ということで、やはりあそこまで水素を入れに行くとなると、結構遠くから、宇都宮市からだとなかなか厳しいところもあります。でき得れば、県内3か所ぐらいということで、県央地域に1か所、県北地域に1か所、その程度は欲しいというところですけれども、やはり整備に当たって1か所で5億円から6億円という整備費がかかります。今、国庫補助等があり、県も補助金を用意しておりますが、やはり整備費がかかるのと、それからまだまだ普及していませんので、入れに来る車がないということになると、運営も厳しいところがあって、そういった点でなかなかこれから進めていくのは難しいという状況にあるかと思います。
やっていくに当たっては、やはり普通の水素自動車を最初から普及させるのはなかなか難しいということもあって、いわゆる商用車、コンビニエンスストアのトラックとか、そういったところから広めていかないと、なかなか整備が進まない状況にあると認識しております。なので、これから地元でどのくらいそういう応援というか、商用車も含めてやっていただけるとか、そういったところも考えながら進めていければと思っております。(「公用車は」の声あり)
公用車は今2台ほど、ミライとクラリティがありますけれども、クラリティが製造中止という状況にありまして、水素自動車は今のところそこで止まっている状況ですけれども、できれば水素自動車も拡充していければと考えております。
○
螺良昭人 委員長 渡辺委員。
◆渡辺幸子 委員 私の周りの方の意見では、やはり水素ステーションがないから、購入しても栃木市まで燃料を入れに行くのが大変なので買えないということです。今はまだ金額的に購入できる層が決まってしまっていると思いますけど、そういった方々が関心を持っているにもかかわらず、栃木県内、特に県央地域に水素ステーションがないので購入できないという現状があると思いますので、ぜひその認識を持っていただいて今後の取組を進めていただきたいと思います。
もう1点質問させていただきたいのです。やはりこういった取組に関して県内の方々に当事者意識を持っていただくことが一番大事になってくるのだろうと思っています。様々な施策を実施したとしても、一部の人たちだけ、特に環境に関心が高い人や、あるいは企業など、そういった方々だけしか巻き込めないということになってしまっては、もし、この大きな目標が達成できたとしてもあまり意味がないのではないかと私自身は思っています。県民の方々の中でも、前にも申し上げたとおり特に若い世代は関心が高く、一般の方々の中でも関心の高い層だと感じています。そういった人たちに情報を提供するだけではなく、そういう方々の声を吸い上げていく、県がどう考えていて、そういった一般の方々がどのように考えているのか、どういった取組を個人的に家庭の中でされているのか、そういったことを吸い上げていくことも大事だと思っているのですけれども、そういった施策に関しては、どのように検討されているのか教えてください。
○
螺良昭人 委員長 渡辺
環境森林部次長。
◎渡辺 次長兼
環境森林政策課長 カーボンニュートラルの話は、先ほど実現会議の話もございましたけれども、やはりこれから中学生とか高校生とか、その方々が大体2050年にはメインになってくる皆さんであろうということで、やはりそういった方々への協力とか、それから若い方々にどうやって意識を持っていただくかと。若い方々ほどやはり環境問題については非常に関心が高いということもあって、そういった方々にやはり意識改革というか、
カーボンニュートラルの意義とか、どういったメリットがあるのかとか、そういったところをしっかりと普及や啓発をしていくことが重要だと考えております。
○
螺良昭人 委員長 渡辺委員。
◆渡辺幸子 委員 私が先ほど質問させていただいたのは、そういった普及啓発をしていくということは今検討されていると思うのですけれども、若い世代の方々を中心にむしろ県が学ぶことのほうがたくさんあるのではないかということです。既に実施していることや、もっとこのように県にやってもらいたい、地域でこういう取組をやってもらいたいということを、若い世代のほうが持っているのではないかという話で、そういった声を吸い上げる方法を県として何か考えてらっしゃるのかをお伺いしたいと思います。
○
螺良昭人 委員長 渡辺
環境森林部次長。
◎渡辺 次長兼
環境森林政策課長 まずは具体的にどういったものというのは考えていませんけど、そういった点についてもこれから検討してまいりたいと考えております。
○
螺良昭人 委員長
鈴木環境森林部長。
◎鈴木
環境森林部長 先ほども申し上げましたように、県民の皆さんにこの
カーボンニュートラルの取組の重要性について認識していただくことは大変重要だと思っております。本日の資料にありますように、このまま何もしないで温室効果ガスが増え続けますと、栃木県が今世紀末には平均気温でいえば鹿児島県になってしまう。真夏日の日数については那覇市を上回る。そういう状況になってしまうということですので、こういったことにならないように取り組んでいただくために、何ができるかということ。
これまでは、先ほどの渡辺委員の話にもありましたように、どちらかというと行政側から県民の皆さんにお伝えする、いかに届けるかに重点が置かれておりました。そういった取組は引き続きしっかりとやっていかなければならないと思いますが、デジタルがもう1つの今後の成長の中で重要なものとして取り上げられておりますので、デジタル技術を活用しながら県民の皆さんのご意見等を探るといいますか、お聞かせいただく、そういったことも十分考えていきながら進めていく必要があると思っております。
○
螺良昭人 委員長 よろしいですか。
私から1つだけ。先ほどから話が出ているEVなどについて、目標は決めているのでしょうか。例えばこれから購入する公用車はガソリン車を買わないというような、そういう決め事や、何年までに全ての自動車をEVやPHVにするということを決めているのかどうかということを1点。
それから、他県にも水素ステーションはありますよね。ですから、栃木県だけではなく、他県の水素ステーションまで含めてどの程度カバーできるのかということを踏まえながら現在、栃木県内で考えると北、中、南で3か所と言っていますけれども、他県の動向を踏まえれば設置の仕方についても考えが変わると思うのですね。さらに、鶏が先か卵が先かという問題がありまして、積極的にステーションを導入しない限りはどちらが先かという問題がありますから、その辺りを聞かせていただきたいのですが。
どうぞ、渡辺
環境森林部次長。
◎渡辺 次長兼
環境森林政策課長 EVとPHVの県の公用車の目標というのは、今のところございません。これから
カーボンニュートラルがございますので、そういったところも定めていかなければいけないかと考えております。
それから、水素ステーションですけれども、先ほど5億、6億円という話もありましたけれども、いろいろな安全規制の関係で非常にがっちりしたものを造らなければいけないというところがあるのですけれども、国のほうではその基準を下げようと、緩和しようという方向で動いております。それから他県にも水素ステーション、全国では今計画も入れて162基ぐらいございます。どちらかというと大都市ですね、東京都、愛知県、大坂府、福岡県、そういった大都市圏を中心に今整備が進められている状況です。
東北の方向だと、東京都を出ると次は佐野市で、その後は宮城県まで行ってしまう状況ですけれども、埼玉県には幾つかあります。なので、県南のほうは比較的充実しており、埼玉県は11か所ということで、ある程度県南のほうは行こうと思えば入れに行けます。栃木市の水素ステーションもやはり埼玉県の北のほうにお住まいの方が入れに来ていらっしゃるようですので、そういった広域的なものも考えながらやってまいりたいと思うのですけれども、やはりどうしても栃木県内の中央だと、他県まで入れに行くというのは難しいというところがありますので、県内のほうもしっかりと整備してまいりたいと思います。
○
螺良昭人 委員長
鈴木環境森林部長。
◎鈴木
環境森林部長 水素ステーションにつきましては、
グリーン成長戦略で全国で2030年までに1,000か所という目標になっております。現状からすると7倍以上になりますので、大変意欲的な目標を、全国で1,000ということですから、それほど爆発的に増えるということでもないのかとは思っております。
先ほど来の話のように、一定のFCVに対する需要はあると私どもも肌感覚で思っております。いろいろな方のお話を伺っても、価格的にいわゆる高級車のレベルをお考えの方からすると、価格面がネックには必ずしもならない。やはりステーションがないことが一番のネックであると私どもも認識しておりますので、これについては特に
経済産業省でも同じ認識を持っておりまして、私どもは関東経済産業局と勉強会等を実施しておりまして、どのようにすれば栃木県に第2、第3のステーションを設置することができるか、誘致できるか考えているところです。まだ具体的にお話しすることはできませんけれども、これをさらに進めて、実際に2か所目、3か所目、まず2か所目ですね、3か所目の前にまず2か所目をしっかり誘致できるように努めてまいりたいと思っております。
○
螺良昭人 委員長 待ったなしですので、数値目標をしっかり出していただくことを重ねてお願いします。
ほかにございますか。
関谷副委員長。
◆関谷暢之 副委員長 冒頭、
相馬委員からの質問とほぼ同様にはなってしまうのですが、この
ロードマップの骨子案が次回示されることに対して楽しみに注視したいと思うのですが、松井委員からもありましたように、様々なデータを見ますと
ロードマップの策定というのは非常に困難な作業であると我々も感じています。そのような中で、ポイントとしてはエネルギー政策、そして技術革新、イノベーションになってくるのだと思いますが、先ほど部長の話でも、エネルギー政策は国の分野、それからイノベーションとなれば研究機関であったり産業界ということで、何となく他力本願的な部分にも陥りがちな話かと思います。
そのような中で、2050年までの
カーボンニュートラルに向けたこの
ロードマップの策定の基本的な姿勢として、先ほど
相馬委員からもありましたけれども、現行技術と、それから机上の数字にはなるかもしれませんけれども、そうしたもので2030年の中間、それから2050年に向けてという部分がきちんと策定ができる状況にあるのかお聞かせください。
○
螺良昭人 委員長
鈴木環境森林部長。
◎鈴木
環境森林部長 保母委員の指摘にもありましたように、我々の考えからしますと、積み上げてそれぞれの分野ごとにこれで何万トン、これで何万トン、合わせて幾つというふうに明確に出せるのが望ましいと思っておりますけど、その積み上げをやりますと、結果として既存技術のフル活用を行っても、とても県民の皆様が期待されているような数字に届かないということがあるかもしれません。
ですので、やはりすぐ近くといいながらも9年後ということも踏まえれば、やはり県としてこういう高い目標を持ってオール栃木で進めていくのだという姿勢を示すという部分も必要かと思っております。そういった部分につきましては、大変恐縮ですが、私どもとしては、県議会における議論が、策定作業を進める上で踏まえなければならない部分だと思っておりますので、委員の方々の話も十分に伺って、そして我々が必ず達成するという目標を県民の皆さんに具体的にお示しできるように進めていきたいと思います。
国がやらなければ分からない部分はありますが、一方で、先日の実現会議では
電力会社やガス会社の皆さんから、それぞれの具体的な取組について、やはり同じく2030年を目標にこういうことをしていきたい、2050年には当然ゼロにしていく、そういう話を伺いましたので、こういった取組で我々県あるいは市や町が協力できることがどうもたくさんあるのではないかと、私は思いました。そういうことについてエネルギー会社等に、あるいは大企業等にお願いする、国にお願いするだけでなくて、県もまたプレーヤーの1人としてどういったことがやっていけるのか、やっていくという基本的な姿勢の下に、策定作業は進めていきたいと思っております。
以上でございます。
○
螺良昭人 委員長 関谷副委員長。
◆関谷暢之 副委員長 ぜひ今の部長の話のように、実現可能な、絵に描いた餅にならない、実効性のある、現実に即した
ロードマップを勇気を持って示すこともやはり必要なのだと思います。
そして、やはり栃木県の地域性に合致させた中で戦略的に、例えばイノベーションが必要な部分であれば、先ほど保母委員からもあったと思いますけど、栃木県としての特色としてやはり戦略的なイノベーションを後押しするようなことを、やはりパッケージとして実現のためにはこういうことが必要だとか、エネルギー政策の転換も栃木県としたらこの
再生可能エネルギーに取り組むとか、エネルギー政策の転換という部分が栃木県としてはこの分野に特化して取り組むべきだとか、そうした戦略性も含めて提案できるような、そんな
ロードマップを期待したいと思います。
相馬委員からもありましたように、ぜひイノベーションを受動的な部分で期待するのではなくて、イノベーションの結果が栃木県のしいた
ロードマップを加速化させてくれるのだ、達成を前倒ししてくれるのだという部分で、ぜひ同じ内容になりますけれども取組をお願いしたいと思います。
以上です。
○
螺良昭人 委員長 ほかに、
野澤委員。
◆
野澤和一 委員 今、民間の自動車業界では2030年にはガソリン車はもう作らないと、あるいは住宅業界ではZEHを推進して、県内の工務店もZEHの研修を受けながらエネルギーゼロに向けて取組をしている。製造業など様々な分野でこの方向にベクトルを合わせてやっているわけでございますので、ある意味では県としてかなり積極的な取組を示す必要がもうあると思っています。
先ほど水素ステーションの話が出ましたけれども、私も水素ステーションは設置すべきだということを本会議でも要望し、1か所は設置されている状況でありますけれども、現在、水素ステーション自体が経営的にペイできない事業でありますので、民間事業者に頼ることなく、こういったところについては公共性の高い施設でありますから、県として市町と連携して公営のステーションを造るくらいの、そういう姿勢というか、そういったものがあって初めて周辺の事業者を巻き込み、また県民を巻き込む脱炭素への取組になっていくのではないかと思っておりますので、この点は積極的な計画と取組を要望したいと思います。
以上です。
○
螺良昭人 委員長
相馬委員。
◆
相馬憲一 委員 関谷委員、そして
野澤委員の熱弁の後に申し訳ないのですが、水素ステーションだったら何でもいいのか。水素だったら何でもいいのかという議論ですけど、化石燃料から取る水素にするのか、
グリーン水素にするのか、既に1か所は造ってありますが、栃木県は、これから水素ステーションを造るに当たっては、水素なら何でもいいのか、それとも
グリーン水素を目指すのか。その辺りの認識はいかがでしょうか。
○
螺良昭人 委員長
鈴木環境森林部長。
◎鈴木
環境森林部長 先ほどの
相馬委員の話にありましたように、まず2050年に
カーボンニュートラルが実現すれば、
産業革命以前に戻れるのかということですが、課長が申し上げましたように戻ることはできませんので、その影響を最小限にとどめることが今の最大の目標であるということです。そういったことからも、私どもが取り組まなければならない基本的な考え方としまして、2050年に最終的に
カーボンニュートラルを実現するとしても、早急に今排出しているものを減らす取組、できる限り減らす取組がまず重要です。
そういう意味において2030年の目標をきちんと設定して、県民の皆さんにお示しする必要があると考えております。そうしますと、水素は、ご指摘のとおり現状では価格の安いものができないという状況がありますので、そうしますと全面的に今のまま水素の活用を進めていくことが2050年に向けた課題の解決にならないということがありますので、
グリーン水素を目指していくということは重要だと思っております。
一方で、これには非常に高い技術が必要ということですから、すぐに
グリーン水素を目指すことは難しいので、バランスを取りながら考えていく必要があると思います。
もう1点、EVについて申し上げますと、EVも同様でして走るときには電気ですのでCO2を排出しませんが、それを製造する過程において排出しているということがありますので、2030年に向けては電動車、ですからハイブリッドビークル、HV、これも重要な選択肢になるのではないかと考えております。完全なガソリン車でないもの、いわゆる電動車というカテゴリーでも、今よりは間違いなくCO2の排出量が減りますので、中期的な目標と長期的な目標、最終的には
カーボンニュートラルにするということを併せて考えながら、ベストミックスで施策を進めていく必要があると思っております。
以上でございます。
○
螺良昭人 委員長 よろしいですか。
では、以上で質問を終了させていただきます。
次に、その他の件で何かございましたらお願いいたします。よろしいですか。
なければ、その他の件について終了します。
次に、次回委員会についてでございますが、年間活動計画では日程が未定でありましたが、7月29日木曜日10時から開催いたしますので、ご了承願います。
なお、次回の委員会では参考人を招致し、
カーボンニュートラルに向けた施策の推進に関する意見聴取を実施させていただきます。
参考人につきましては現在調整中ですが、国立環境研究所の職員とエネルギー業界の関係者を招致させていただく予定でございます。また、参考人招致の終了後、本県の
ロードマップ骨子案を議題として調査した後、
カーボンニュートラルに向けた施策の推進についての委員間での討議を行わせていただきます。
なお、次回は内容が盛りだくさんのため、昼食休憩を挟んで終日実施する予定でおります。誠に恐縮ですが、お時間を確保くださいますようお願いいたします。
以上で本日の日程は全て終了いたしました。
これをもちまして、本日の
グリーン社会実現特別委員会を閉会します。
午前11時41分 閉会...